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冠婚葬祭

元日(がんじつ)

出典:IBC冠婚葬祭辞典

元日とは、新暦(注1)の1月1日を言います。元日は1月1日の全日を指し、元旦と言う場合は1月1日の朝を指さします。「国民の祝日」に制定されており、日本各地では、元日から1月3日までの「三が日」、または「松の内(現在は1月7日まで、元々は1月15日まで)」までを特に「お正月」と呼び、この時期特有の行事や慣習が行われます。

日付や時期

元日の元という字には「一番はじめ」という意味があり、元日は正月の最初の日、1月1日のことを言います。

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由来・起源・制定

昔は、1年に2度ご先祖様をお迎えして供養をしていました。お正月の行事は神道に結びつき、お盆の行事は仏教に結びついて、今のような形式になりました。お正月は新しい年の始まりというだけでなく、新しい年に実りをもたらし人々の魂をリフレッシュしてくださる年神様(ご先祖様、イネの神様とも言われています)が訪れる特別なときと古くから考えられてきました。
日本では明治から大正・昭和前期まで皇室行事である四方拝(しほうはい)(注2)にちなんで、四方節(しほうせつ)と呼び、祝祭日の中の四大節(紀元節、四方節、天長節、明治節)の1つとされてきました。1948(昭和23)年公布・施行の国民の祝日に関する法律により、四方節に代わって「年のはじめを祝う」ことを趣旨とする「国民の祝日」となりました。

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行事や風習・慣習、季節に関する事項

元日には、家族揃ってお祝いの膳を囲み、挨拶をかわす習わしがあります。初日の出を拝んだり、神社やお寺に初詣をする慣習があり、三が日はおとそ(注3)、おせち、雑煮などを食べます。親戚や知人、友人、仕事関係者と年賀状を交換したり、目下の家族、親戚、知人、友人、子供に対してお年玉をあげます。元日の夜(あるいは1月2日、3日の夜)に見る夢を初夢と言い、1年の縁起を占ったりします。また一般的には1月2日に書初めを行います。お正月の伝統的な遊びに、凧揚げ、羽根突き、独楽回し、福笑い、双六、かるたなどがあります。

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贈答品などについて

御年賀
年の初めに行う挨拶です。 正月(1月1日~3日)の間に年始挨拶の品として持参するのが正式な礼儀とされますが、「松の内」と呼ばれる1月6、7日頃(地方によって日は違います)までに訪問して挨拶をし、品物を手渡しすることが習わしです。贈り物はお菓子やタオル、お茶や石鹸、酒器、などが一般的です。カタログギフトも最近は人気です。
企業がお客様等を訪問する場合の手土産は配る数も多いことから、数百円から高くても2,000円程度が一般的です。個人の場合でも相手の人との関係にもよりますが、年末にお歳暮を送った方には、500円~1,000円程度、お世話になりお歳暮を贈っていない方には3,000円~5,000円程度が目安です。松の内を過ぎると「寒中見舞い」となります。
当方又は先方のいずれか(又は双方)が喪中に当たる場合は、事前に先方の了解を得た上で、松の内を外して「寒中」に訪問するのがマナーとされており、この場合の表書は「御年賀」としないで「寒中見舞い」、目上の方には「寒中御伺」とします。喪中の場合は年賀の挨拶はしません。先方に事情を説明して年始挨拶を欠しても、失礼には当たりません。

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お金に関する事項

お年玉の目安
「子供の1ヶ月のおこづかい程度」が目安です。
乳幼児(0歳~2歳):あげないという人が多数。親類や知人友人の子供にあげる場合でも1,000円まで。
未就学児(3歳~6歳):500円から1,000円が平均的。高額な場合でも3,000円。小さな子供にはお札より硬貨が喜ばれたりします。
小学校低学年(1年~3年生):1,000円から3,000円。
小学校高学年(4年生~6年生):3,000円
中学生:3,000円が相場で、次いで5,000円が多い。
高校生:5,000円が相場で、次いで1万円が多い。
大学生:あげないと言う人もいる。あげるとしたら1万円が平均的。

初詣のお賽銭
下記の金額を好む人が多いようです。
・5円…ご縁
・11円…いい縁
・15円…十分ご縁
・20円…二重に縁
・25円…二重にご縁
・41円…終始いい縁
・45円…終始ご縁
・115円…いいご縁
・485円…四方八方からご縁

初詣の祈祷
事業や商売の繁盛、健康、交通安全、合格祈願、家内安全などを願って、区切りの良い年の初めに1年間の祈願や祈祷をされる方が多いようです。
神社で祈祷をお願いする場合の表書は「初穂料」で、お寺の場合は「御祈祷料」や「お布施」となります。のし袋は赤白・紅白の水引で花結(関西ではあわじ結)になっているものが基本です。金額の相場は個人の場合で3,000円から1万円とされており、迷う場合は5,000円で良いかと思います。また、神社やお寺によっては、ホームページなどで祈祷の種類ごとに初穂料、祈祷料の金額を案内しているところもあります。訪問する神社やお寺のホームページを見たり、直接問い合わせても良いかと思います。
お寺で祈祷を行う場合、宗派によって異なります。真言密教では、護摩を焚いて手に印契を結び真言を口にして仏の加護をお願いします。日蓮宗では木剣を使用した祈祷、浄土真宗では祈祷そのものがないと言われています。檀家となっているお寺や祈祷を予定しているお寺に直接問い合わせると良いでしょう。

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返礼やお返しについて

お年玉は、一般的に目上の人からいただいた場合には特に返礼やお返しはしません。相互にお年玉を渡す場合、例えば相手方から自分の2人の子供に合計で6,000円いただいた場合、相手方の子供が1人であれば、その子に5~6,000円をお年玉として渡すというように同額を意識する人が多いです。
御年賀も返礼やお返しは特にしません。お年玉も御年賀もその場でお礼を言葉にすれば十分です。高価な御年賀でどうしても返礼したい場合は、いただいた金額の半分相当の「半返し」が目安となります。

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のし紙・掛紙の水引や表書について

お年玉は「ポチ袋」(注4)に入れて渡すのが一般的で、水引がある袋の場合は、花結を選びます。
表書はポチ袋に印刷されている場合が多いですが、記入が必要な場合は「お年玉」とし、相手の名前はポチ袋の表の左上、贈り主である自分の名前は裏面の左下に書きます。
お金は新札を使い、三つ折りにしてポチ袋に入れます。お札の上下が逆にならないよう注意しましょう。そして、三つ折りになっているお札を開いたときの表が、ポチ袋の表側になるように入れます。

御年賀の場合、贈り物に掛ける「のし紙」は、赤白(赤と白色で印刷されている)の5本(又は7本)の花結(蝶結び)にのしが付いたデザイン(通称・花結=一般お祝い用)のものを用います。表書は水引中央結び目の上に「御年賀」と書き、名前は水引中央結び目の下にやや小さめにして「フルネーム」で書き入れます。タオルを贈る場合、表書に「御多織留(おたおる)」を使うこともあります。

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服装やマナーなど

現在、お正月はTPO(注5)にあった服装ならどんなものでも良いとされています。ただし露出が多いものやカジュアルすぎる服装は避け、きちんとした服装のほうが良いでしょう。
初詣の服装は、神聖な場所ですから男女ともラフな服装は避け、できるなら正装が望ましいとされています。寒い時期ですので、防寒対策をしっかりするのが良いでしょう。

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その他の事項(宗教に関する事など)

初詣は、神社、寺院にお参りすることで、どちらに参っても良いとされます。
神社にお参りをする際は、まず鳥居で一礼し、参道の端を歩きます。手水舎(ちょうずや)で手と口、体の外と内を清めます。神前の賽銭箱の前まで来たら、鈴を鳴らしてお賽銭を入れて二礼二拍手し、手を合わせてお祈りします。その後、一礼し神前を離れます。鳥居をくぐって出た後、振り返って一礼します。
お寺の場合も山門の前で一礼して門をくぐり、帰りも一礼します。手水の手順は神社と同じです。お賽銭を入れて合掌し、一礼します。お線香の場合は右手に持ち、左手を添えて額に掲げてお供えします。お寺では神社と違い合掌はしますが、拍手はしません。

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脚注

(注1)新暦:ローマ教皇グレゴリウス13世が制定し、1582年10月15日金曜日から執行されている暦法。 現在「太陽暦」として世界各国で用いられており、「新暦」と呼ばれる。日本では旧暦(太陰太陽暦)に代わって、1873(明治6)年から採用されている。
(注2)四方拝:1月1日の早朝、天皇陛下が天地四方の神々に年災消滅・五穀豊穣を祈願する宮中行事。
(注3)おとそ:これから始まる1年の邪気を払い長寿を願う目的で正月に呑む縁起物のとそ散を入れた酒であり風習。
(注4)ポチ袋:正月にお年玉をあげる際にお金を入れる袋。ぼちとは「これっぽっち」からきている。
(注5)TPO:時(Time)・所(Place)・場合(Occasion)を意味する和製語。「時と所と場合に応じて服装などを選ぶこと」などを言う。

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