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仏式法事・法要(ぶっしきほうじ・ほうよう)

出典:IBC冠婚葬祭辞典

法事とは、亡くなった親族のために定期的に法要が催され、僧侶を招いて故人の魂を供養することを言います。一般的には、食事も含めたこのような行事のことを「法事」と言い、僧侶にお願いする読経のことを「法要」と言います。法要は法事に含まれるため、同じような意味に理解されることも多いようです。

日付や時期

故人がなくなった日から、一定の日にちや年数の経過後に開かれます。7日、14日、21日、28日、35日、42日、49日、100日、そして、1年、2年、6年、16年、22年、26年、32年、36年、42年、46年、49年、99年と続いていきます。

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由来・起源・制定

「人は亡くなると七日おきに裁きを受け、極楽浄土(注1)に行けるかどうか決まる」というのが、初七日から四十九日までの法要(追善供養)の元になる考え方です。故人は、初七日は不動明王(注2)、それから七日ごとに釈迦如来(注3)、文殊菩薩(注4)、普賢菩薩(注5)、地蔵菩薩(注6)、弥勒菩薩(注7)、四十九日には薬師如来(注8)の裁きを受けます。これは中国の道教に由来し、「十王」という十人の神格が死後七日ごとと百ヶ日、一周忌に裁きを下して、故人が極楽往生するかどうかを決めるというものです。十王(注9)は「閻魔大王(えんまだいおう)」と言われれています。死後七日ごとに法要を行うインドから中国に伝わった仏教がこの考え方を取り入れ、日本にもそのまま受け入れられたと言われています。

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行事や風習・慣習、季節に関する事項

仏教では、人が亡くなってからの49日間を「中陰(ちゅういん)」、49日目は「満中陰(まんちゅういん)」と呼びます。中陰の間は、死者の魂が成仏せずにさまよっていると考えられており、故人のために追善供養を行います。忌日法要は、故人の命日から7日ごとに行われる法要で、以下の8つが含まれます。
初七日(7日目)、二七日(14日目)、三七日(21日目)、四七日(28日目)、五七日(35日目)、六七日(42日目)、七七日(49日目/満中陰)、百カ日(100日目/卒哭忌)

【忌日法要】
初七日(しょなのか、しょなぬか)
故人の命日から7日目に行われる法要です。この日は故人が三途の川に到着する時期だとされており、僧侶や親族、故人に縁のある人たちでお祈りします。最近では、葬儀の日に初七日法要も執り行う人も増えています。
三七日(みなのか)
故人の命日から21日目に行われる法要です。この法要は僧侶と親族のみで執り行うことが多くなり、規模はかなり小さくなります。行わない家庭も増え、必ずしも行わなければならない法要ではなくなってきています。
四七日(よなぬか・ししちにち)
故人の命日から28日目に行われる法要です。この法要も三七日法要と同様に、親族だけで執り行われることがほとんどで、省略する家庭も多くあります。
五七日(いつなのか)
故人の命日から35日目に行われる法要です。近親者と僧侶のみで読経を行い故人の冥福を祈るのは、これまでの法要と同様です。地域によっては五七日法要を忌明け日として、忌明け法要を執り行うところもあります。一般的に「忌中」は四十九日、「喪中」は1年間が目安です。
七七日(しちしちにち・なななぬか)
故人の命日から49日目に行われる法要で、「四十九日」とも呼ばれており、最も知名度の高い法要です。審判を受けて来世でどのような世界に行くかが決まる、重要な日とされています。この法要には僧侶や親族だけでなく、故人と生前関わりがあった人たちも集まって、一緒に冥福を祈るのが一般的です。四十九日で忌明けとする家庭がほとんどです。
百カ日(ひゃっかにち)
故人の命日から100日目に行われる法要です。四十九日で忌明けとする家庭が多いため、ほとんど行われません、別名「卒哭忌(そっこくき)」とも呼ばれており、遺族が故人を亡くした悲しみから解放される日とされています。

【年忌法要】
亡くなって1年目を「一周忌」、2年目を「三回忌」、その後、七回忌(6年目)、十三回忌(12年目)、十七回忌(16年目)と、3と7の年度に行います。三十三回忌を「年忌明け」といって弔い上げになるのが一般的です。三十七回忌、四十三回忌、四十七回忌、五十回忌、百回忌を含め13の法要があります。
一周忌(いっしゅうき)
故人が亡くなってから1年が経った日に行われる法要で、最も大切な法要とされています。僧侶や親族、生前に故人と縁のあった人が参加します。僧侶の読経の後に焼香を行い、食事会を開催するというのが一般的な流れです。
三回忌
故人がなくなってから2年後の命日に行う法要です。三回忌を節目として、以降の法要は執り行わない家庭が多いことから、重要な節目の意味を持つ法要となっています。一周忌と同様に、多くの参加者を集めて故人の冥福を祈る場合が多いですが、最近では三回忌を執り行わないところもあります。
七回忌
故人を亡くなってから、6年が経過した日に行う法要です。一周忌や三回忌よりも規模が小さくなる場合が多く、基本的には僧侶と親族のみで行います。
十七回忌
故人が亡くなってから、16年が経過した日に行います。ほとんどが家族だけで法要を行っています。
二十三回忌
故人が亡くなってから、22年が経過した日に行います。22年も経過しているため、開催しない家庭が多いようです。
二十七回忌
故人がなくなってから、26年が経過した日に行われます。近年は行わない家庭が多いですが、「併修」と言って、命日の近い他の故人と一緒に法要を行う場合があります。
三十三回忌
命日から、32年が経過した日に行われる法要です。地域やお寺の宗派によって異なりますが、三十三回忌では弔い上げをするのが一般的だとされています。長く年月の経過で故人を知っている親族も少なく、区切りとなる三十三回忌をもって、以後の年忌供養は執り行わないようにします。
三十七回忌
命日から36年が経過した日に行われる法要です。
以降、四十三回忌(42年)、四十七回忌(46年)、五十回忌(49年)、百回忌(99年)がありますが、ごく近しい親族で行うか、または、行わないところがほとんどです。

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お金に関する事項

故人が、両親や兄弟といったかなり近い親族であり、三回忌までであれば、少し多く包んで法要の支払いやお布施の一助にしてもらいます。会食がない場合は、金額を少なめにしてもいいでしょう。金額の目安は、以下の通りです。
【1親等~2親等(祖父母、両親、おじおば、兄弟、子供、孫など)】
四十九日および一周忌法要の場合:会食あり3万円~5万円、会食なし1万円~3万円
四十九日、一周忌以外の法要の場合:会食あり1万円~3万円、会食なし5,000円~2万円
【3親等以降並びに血縁者以外】
四十九日および一周忌法要の場合:会食あり1万円~3万円、会食なし5,000円~1万円
四十九日、一周忌以外の法要の場合:会食あり1万円~2万円、会食なし5,000円~1万円

法事は突然の事ではないため、清潔なお札を使います。また「4」および「9」は忌み言葉として避けるべき数字とされていますので、9,000円、4万円などお札の枚数が4枚や9枚にならないようにすることもマナーです。

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返礼やお返しについて

法要の参列者からいただいたお供え(お香典)のお礼として、また、四十九日の忌明けの頃に、感謝の意味を込めてお返しする品物(返礼品)を「法事のお返し物(引き出物)」と言います。金額的にはいただいた額の1/3~半額程度(半返し)が目安と言われます。法事の際の香典は、父母や兄弟でなければ1万円程度が一般的ですので、その後の会食の予算もあり、法事の引き出物は2,000円~5,000円程度が一般的です。お茶、海苔、お菓子、紅茶やコーヒーなどがよく選ばれています。

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のし紙・掛紙の水引や表書について

仏式の法事では、黒白や銀白、双銀の水引が付いたお金包みを使います。関西など一部の地域では、黄白を使うこともあります。表書は四十九日の法要までは「御霊前」、四十九日以降は「御仏前」としますが、浄土真宗だけはどの時期でも「御仏前」とします。四十九日までは薄墨、四十九日からは通常の濃墨を使うのが一般的です。
四十九日に「香典」のお返しをする場合、水引は黒白、双銀の「結切」で、表書は「志」とし、喪主や送り主側の姓のみを書きます。関西地方では「満中陰志」、地域によっては「忌明」「茶の子」という表書にする場合もあります。
表書をご自身やデパートなどに頼んで印字する場合、楷書体や教科書体が基本となります。

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服装やマナーなど

参列者の服装は通夜・葬式と同様で、七回忌までは変わりません。お通夜/仏式参照のこと。
遺族の服装は正礼装です。男性はブラックスーツで靴下や靴は黒を着用します。女性は黒の長袖のワンピースやスーツを着用し、ストッキングやバッグ、装飾品も黒または肌色を身につけます。
三回忌以降の服装は、これまでの法事と違い、清潔できちんとしていれば軽装で大丈夫です。男性はダークスーツにシャツという服装で、派手すぎない色のネクタイを着用します。女性はグレー・紺・黒など落ち着いた色のスーツやアンサンブルなどを着用します。靴やバッグも派手でなければ、礼装用でなくてもかまいません。
三回忌以降の法事は、故人を偲ぶ行事として親類が集まり歓談する機会となりますので、出席するのが近親者のみであれば、平服でよいとする場合もあります。

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脚注

(注1)極楽浄土:西方十万億土を過ぎた所にあると言われる苦しみの全くない世界で、阿弥陀を念ずるものが死後迎えられるとされる。
(注2)不動明王:大火炎の中に座し、剣と縄を持っている五大明王の一つ。
(注3)釈迦如来:実在した仏陀(悟りに達した人)であり、仏教の開祖である釈迦を尊ぶ呼び名。
(注4)文殊菩薩:知恵の神様として有名な菩薩。学業向上や合格祈願にご利益があるとされる。
(注5)普賢菩薩:釈迦如来の慈悲行を象徴する仏。文殊菩薩とともに釈迦如来の脇侍として配されることが多い。
(注6)地蔵菩薩:将来の弥勒仏による救済までの間、業に苦しむ人々の身代わりとなって人々を救済する菩薩。
(注7)弥勒菩薩:釈迦入滅から56億7000万年後の未来の世に仏となってこの世にくだり、衆生を救済するという菩薩。
(注8)薬師如来:薬壺を持ち病気を治す仏様として知られる、如来の一尊。
(注9)十王:道教や仏教で、地獄において亡者の審判を行う10尊の裁判官的な尊格。七人しかいないのに十王と言う。

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