失敗しない「ご祝儀」のマナー
贈るタイミング
祝儀袋の選び方
ご祝儀を入れる袋を選ぶ最も重要なポイントは、「お祝いの目的に合う水引」と「金額に合ったデザイン(飾り)」であることです。水引が間違っていたり、金額と不釣り合いなデザインのものを選ぶと、相手に失礼にあたるので、しっかり確認して選びましょう。
祝儀袋の水引は、お祝いごとの種類によって違います。例えば、結婚祝いは「結切」または「あわじ結び」です。結切には〈二度と繰り返さない〉という願いが込められていて、結婚祝いのほか、全快祝いなどもにもこの水引が使われます。
出産や入学などのお祝いの水引は「花結(蝶結)」です。花結は〈ほどいても結び直せる〉ということから、何度繰り返してもよいお祝いごとに用いられます。
市販の祝儀袋には、水引が印刷されている簡素なものから、豪華な飾りが付いたものまで様々あります。数千円のご祝儀を豪華な飾りの袋に入れたり、数万円のご祝儀を簡素な袋に入れるのも、中身と袋のバランスが悪いと言えます。金額に見合う祝儀袋を選ぶのも大切なマナーです。


祝儀袋の書き方
祝儀袋の表、上段には「表書(寿・御祝などのお祝いの目的を表すもの)」を、下段には「名入(贈り主の名前)」を必ず書き入れます。贈る相手の方が目上の場合は「姓名」、同僚や目下の場合は「姓」のみとするのが一般的です。毛筆(筆ペン)で丁寧に手書きをするのが基本で、文字色は「濃い黒(墨)」です。手書きが苦手などの理由で、近年は印刷する人もいます。印刷する場合は楷書体や教科書体を使用するのが良いでしょう。
▼ 続きを読む名入について
【連名で贈る場合】
【連名で贈る場合】
3人までであれば、袋の表に書いても良いでしょう。年長者の順、あるいは五十音順に右から書きます。文字の大きさや位置などもバランスよく書くのが基本です。
4人以上の場合は、代表者1名の名前を書き、その左側に「外一同」と書いて省略する場合もあります。ただ省略するとお祝いをもらう側に贈り主全員の氏名が伝わらず、返礼をする際に困る場合もあるので、別の奉書紙などに贈り主全員の氏名を書き、祝儀袋に入れるのが良いでしょう。
夫婦連名の場合は、夫のフルネームを先(右)に書き、妻は名前だけを書きます。

【グループで贈る場合】
職場の同僚や趣味の仲間などが集まって贈る場合の名入には、「〇〇部一同」「〇〇サークル有志一同」などと書いても良いでしょう。この場合も別紙に、贈り主全員の名前を書いて同封します。

中袋について
【金額を明記する】
【金額を明記する】
祝儀袋の中袋の表側(中袋のない祝儀袋の場合は裏面)に、金額を書き入れます。金額は「大字」と呼ばれる文字で書くのが望ましいですが、漢数字でも構いません。
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【住所を明記する】
祝儀袋の中袋の裏側(中袋のない祝儀袋の場合は裏面)に、住所と氏名を書き入れます。

金額を書くときに使われる大字
アラビア数字 | 漢数字 | 大字(現) |
---|---|---|
1 | 一 | 壱 |
2 | 二 | 弐 |
3 | 三 | 参 |
5 | 五 | 伍 |
6 | 六 | - |
7 | 七 | - |
8 | 八 | - |
10 | 十 | 拾 |
1000 | 千 | 阡 |
10000 | 万 | 萬 |
※4と9は一般的に祝儀・不祝儀には使用しません。
※6・7・8は漢数字で表記するのが一般的です。
のし紙・掛紙の書き方
のし紙・掛紙は、慶事・弔事に際して贈る品物に付けるものです。こちらにも祝儀袋と同様に「表書」と「名入」の記入が必要で、毛筆(筆ペン)で丁寧に手書きをするのが基本となります。
お祝いの贈り物の場合、文字色は「濃い黒(墨)」です。筆や筆ペンが苦手な場合は、黒のサインペンであれば許容範囲ですが、ボールペンは不作法な印象となるので使用しないほうが良いでしょう。近年は印刷する人もいます。


詳しい書き方はこちらをご覧ください。 ▶のし紙・掛紙マナーガイド
お金の包み方
祝儀袋に入れるお札は、新札を使用するのがマナーです。入れるときはお札に折れ目などが付かないよう注意し、お札の肖像(顔)が中袋の表側・上部になるように入れます。ちなみにご祝儀と不祝儀のお金の包み方は、逆になります。
市販の祝儀袋は袋の向きや水引の形状などが正しい形でセットされています。お金を入れるとき水引を外したり袋の折を開いたりして包み直しが必要になりますが、袋の左右や上下を間違わないよう注意しましょう。


持参のマナー
祝儀袋に汚れがあったり、折れ目がついたりするのは不作法な印象となります。特に結婚式場や祝賀パーティーといったフォーマルな場所に持参する場合は、相手方への礼儀や敬意を示すマナーとして、袱紗(ふくさ)に包んで持参するのが良いでしょう。
▼ 続きを読む

慶事のお祝い金の目安
お祝い金を包むことの多い行事について、相手との関係性ごとに金額の目安をまとめました。
金額はあくまで目安で、血縁や日頃のつき合いの深さなどに応じて包む金額を考えます。掲載した行事以外でも、お金を包む場合があります。
お祝い金を包むことの多い行事について、相手との関係性ごとに金額の目安をまとめました。
金額はあくまで目安で、血縁や日頃のつき合いの深さなどに応じて包む金額を考えます。掲載した行事以外でも、お金を包む場合があります。
慶弔行事名 | 相手から見た関係性 | 金額の目安 | 水 引 | 一般的な表書 |
---|---|---|---|---|
帯祝い | 親 | 1万円~3万円 | 赤白 花結 |
御祝 |
親(義理)・兄弟 | 5,000円~1万円 | |||
親戚・友人・職場 | 3,000円~1万円 | |||
出産祝い | 親 | 3万円~10万円 | 赤白 花結 |
御出産御祝 |
兄弟姉妹 | 1万円~5万円 | |||
親戚 | 1万円~3万円 | |||
友人・知人(近隣の人など) | 3,000円~1万円 | |||
上司・先輩 | 5,000円~1万円 | |||
同僚・部下 | 1,000円~5,000円 | |||
お食い初め | 招待された祖父母 | 1万円~ | 赤白 花結 |
祝御食初 御祝 |
赤ちゃんの両親の兄弟姉妹 | 5,000円~1万円 | |||
初誕生日 | 親戚や友人 | 3,000円~1万円 | 赤白 花結 |
祝初誕生日 |
祖父母 | 2万円~ | |||
入園、卒園 | 祖父母 | 1万円~2万円 | 赤白 花結 |
入園おめでとう 卒園おめでとう |
親戚その他 | 5,000円~2万円 | |||
小学校 入学、卒業 |
祖父母 | 2万円~ | 赤白 花結 |
ご入学おいわい ご卒業おいわい |
親戚 | 1万円~ | |||
その他知人友人 | 5,000円~1万円 | |||
中学校 入学、卒業 |
祖父母 | 3万円~ | 祝御入学 祝御卒業 御祝 |
|
親戚 | 1万円~ | |||
その他知人友人 | 5,000円~1万円 | |||
高校 入学、卒業 |
祖父母 | 1万円~ | ||
親戚 | 1万円~ | |||
その他知人友人 | 5,000円~1万円 | |||
大学 入学、卒業 |
祖父母 | 1万円~ | ||
親戚 | 1万円~ | |||
その他知人友人 | 5,000円~1万円 | |||
就職 | 両親・祖父母 | 3万円~5万円 | 赤白 花結 |
御就職御祝 御祝 |
親戚その他 | 5,000円~3万円 | |||
長寿祝い | 子供・孫・親戚 | 1万円~ | 赤白 花結 |
寿福・敬寿 祝(還暦) |
結婚祝い | 近親者(兄弟など) | 3万円~10万円 | 赤白・金銀 結切 あわじ結び |
寿 御結婚御祝 |
親戚 | 3万円~5万円 | |||
職場の同僚・友人 | 2万円~3万円 | |||
職場の上司 | 5万円~10万円 |
内祝について

内祝はもともと身内のお祝いという意味です。喜ばしい出来事が起きた際に、親族や親しい人々を自宅に招いておもてなしをすることを由来にしています。
結婚、出産、初節句など、身内でめでたいことがあった際に、その喜びを親しい方々と分かち合うために、その幸せをお祝いの品という形でおすそ分けしますという意味で、内祝として贈りものが贈られていました。現代では、お祝いを頂いた方への返礼という慣習に変化してきました。
内祝はもともと身内のお祝いという意味です。喜ばしい出来事が起きた際に、親族や親しい人々を自宅に招いておもてなしをすることを由来にしています。
結婚、出産、初節句など、身内でめでたいことがあった際に、その喜びを親しい方々と分かち合うために、その幸せをお祝いの品という形でおすそ分けしますという意味で、内祝として贈りものが贈られていました。現代では、お祝いを頂いた方への返礼という慣習に変化してきました。
各種内祝
内祝の種類 | 内容 | 水引・表書き | 金額の目安 | 時期・タイミング | 人気のある贈答品 |
---|---|---|---|---|---|
結婚 | 頂いた結婚祝いのお返しに。披露宴に出席しない人に贈り物を頂いた場合は、内祝の品物で返礼とします。 | 赤白の「結切」で、「内祝」 | 頂いたお祝いの1/3~半額(半返し)が目安。連名で頂いた場合は人数で割り、半額程度が1人当たりの内祝の目安です。 | 結婚式後1ヶ月以内。 | 洋菓子・和菓子や飲料、タオルギフトなどが人気です。 |
出産 | お祝いのお返しに。本来、「内々の祝い」「身内の祝い」という意味があり、お祝い事の喜びを分かち合うため、親しい方や身内を家に招いて赤ちゃんのお披露目をして飲食をともにしました。今は、その代わりに品物を贈るようになっています。命名札を添える場合もあります。 | 赤白の「花結」で、表書は「内祝」「出産内祝」 | 赤ちゃんが生まれてから1ヶ月頃、お宮参りの時期に贈ります。 | お菓子やジュース、コーヒー、紅茶などの飲料、お米などが一般的です。 | |
七五三 | 七五三のお祝いのお返しに。身内のお祝いのため、一般的に返礼やお返しは不要だと言われていますが、お祝いを頂いた場合お返しすることもあります。 | 赤白の「花結」で、表書は「七五三内祝」 | 頂いた品やお祝い金の1/3から半額の半返しが目安。 | お祝いを頂いてから1週間以内、遅くとも2週間以内にお返しをします。 | お菓子などの食べ物や、日用品などが人気です。 |
全快 | 病気や怪我が快復した時やお見舞いを頂いたお礼に。病気や怪我の回復を祝い、お見舞いのお礼として贈る品物です。全快した際に、お世話になった方や、お見舞いを頂いた方へ感謝を伝えます。 | 赤白の「結切」で、「内祝」「快気祝」「快気内祝」「全快祝」「全快内祝」「御見舞御礼」。亡くなられた場合は無地で「御見舞御礼」 | 頂いたお祝いの1/3~半額(半返し)が目安。連名で頂いた場合は人数で割り、半額程度が1人当たりの内祝の目安です。 | 一般的に退院後10日~1ヶ月以内。 | 「病気が残らない」「洗い流してくれる」との願いから、石鹸や洗剤、タオルなどが一般的。「消え物」であるお菓子やフルーツも人気です。 |
就職 | 卒業・就職で頂いたお祝いのお返しに一般的には必要ないとされていますが、高額な祝いを頂いた場合や、お礼の気持ちを伝えたい場合に、内祝としてお返しを贈ることがあります。 | 赤白の「花結」で、表書は「内祝」「就職記念」 | 頂いた品やお祝い金の1/3から半額の半返しが目安。 | 就職が決まったらできるだけ早く、入社前1か月が目安。 | タオル、日用品、スイーツ、グルメなどの「消えもの」や、カタログギフトなどが人気です。 |
賞受賞・入当選 | 受賞祝いのお返しに、贈られたお祝いへの感謝の気持ちを込めてお返しする品物です。 | 一般的には、お祝いの半額程度を贈る半返しが目安とされています。 | 受賞の発表や祝賀会後、1~2週間以内が目安。 | お菓子、お酒、少し高級な日用品(高級タオルなど)やカタログギフトが人気です。 | |
入園・入学・進学 | 入園・入学・進学祝いのお返しに、感謝の品物を贈ります。 | 一般的には、お祝いの半額程度を贈る半返しが目安とされています。 | 入園・入学式・進学後1ヶ月以内が目安。 | お菓子、飲料、日用品などが一般的。 | |
新築(地鎮祭、上棟式)・改築 |
上棟式・地鎮祭・新築・改築の祝いを頂いたお返しに。もともとは、新居のお披露目に招いて食事やお酒などをふるまうものでしたが、今は品物を贈ります。 | 頂いた品やお祝い金の1/3から半額の半返しが目安。 | 新居へ移ってから1ヶ月~2ヶ月以内を目安に贈るのが一般的。 | カタログギフトや、グルメ、高額のお祝いの場合はブランド品などが人気。 |
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